現在、皆さんの口に運ばれるワインの中で、ブドウの実の次にワインに重要なものって何でしょう??
造り手たちが、最大の注意を払い、作ったおいしいブドウ、そして、後はブドウがワインになる力を信じ、醸造する。
そして、やっとできたおいしいワインをボトリング。数ヶ月もの長旅を超え、皆さんの手元へ。
届いたワインが健全であるように、そして、長い熟成に耐えれるようにと造り手たちが生まれたてのワインに
与えるお守りが、コルク!!なんですよ 。
ということで、私の同僚の醸造家プリオーロ君がポルトガルのワイン用コルク生産者の元へ、研修に入ってきたので、彼が学んだコルクのお話を今回はご紹介したいと思います。
コルクはコルク樫の木(オーク種)の樹皮からとれます。昔はポルトガルの大きな森に生えている自然のコルク樫から作っていたのですが、コルクの需要が非常に多いことと森林伐採がすすんだことにより、現在では、植林に頼っています。
簡単に樹皮といいましたが、この樹皮が取れるまでにこれまた、長い年月が・・・。
このコルク生産者では、植林してから9年後、はじめて樹皮を剥ぎます。
しかし、目が粗かったり、凸凹が多かったりでこの樹皮はまだ、ワイン用のコルクにはなれません。
9年後、2回目の剥皮。これもまだまだ。
そして、また9年後、やっとワイン用のコルクとして格上げです!!
ここに至るまでなんと27年ですよ。4度目の剥皮でやっと高品質なコルクが生まれ始めます。
9年ごとに剥皮を繰り返し、、約200年の樹齢まで、使うそうです。
ではこの剥がれた樹皮が、コルクになるまでにはどのような過程をたどるのでしょうか?
まず、炎天下に乾されます。いやいや、高温の蒸気処理待ちです。
無造作においているように見えるのですが、木の樹齢ごとに分けられているそうです。高熱の蒸気にあてることにより、丸みを帯びている樹皮を平たくし、繊維を整えるそうです。
そして、人の目と手で、品質の良い部分と悪い部分に切り分けて、
5段階に樹皮のセレクションが行われるそうです。
評価の高い樹皮は人の目と手で、より、いい部分をセレクションし、
丁寧にコルク型に抜かれます。何度もセレクションをかけ、
全て人の手と目で、より厳選されてゆきます。
評価の低い樹皮は、機械の作業に回され、機会が猛スピードでコルク型に抜いて、センサーを通して、またセレクションされてゆきます。
この機会では、コルクの型を取った後、4段階評価で、それぞれのチューブ(写真の右下)に入れられているところです。
その後、高品質のものも、通常の品質のものもすべて、熱風とアルコールの消毒殺菌にかけられ、バクテリア、異臭を取り除きます。
そして、最後は全てのコルクが、人の目の前を通り、品質に間違いがないかを今一度チェック!!です。
高品質コルクは今一度、機械で断面のチェックを入れます。
こういったコルクはロエロやバローロ、バルバレスコの数年寝かせるワインに使われるため、ワインと長い旅をします。ですので、念の入れ方がまた違います。 そしてお値段も。。。 一つ1ユーロもするそうですよ。
もちろん、コルク製造工場によって、スタイルは違いますが、この会社では、30人もの人が、働き、コルクの素材のセレクションを行っているそうです。
プリオーロ君の話を聞いて正直ビックリしました。これほどの年月をかけ、これほどの人のセレクションにより、作られているんですね。
醸造家の理想としては、全てのワインに最高品質のコルクを使いたいと思っているそうです。
しかし、もしそうしてしまうと、値段と味わいのバランスが崩れてしいます。 ですので、寝かせるワインにはより良いコルクを、1、2年でおいしいワインには、通常のコルクを選んでいるワイナリーが多いようです。
ピエモンテで言えば、熟成が必要なNebbioloのワインには必ずと言っていいいほど、1ユーロ近いコルクが打たれています。ゆっくりとした酸化を促し、年々上品なワインになるためには、高品質のコルクが必要なのです。
悲しいことながら、コルクが高いとワインのお値段も上がってしまうのが、この経済社会。。。
でも、コルクが品質が普通だからって悪いワインではないんですよ。
これだけは間違えないでください!!
そのときの雰囲気とお料理によって、楽しんでこそのイタリアンワインです。
友人と飲むディリーワイン。特別な日の特別なワイン。
全てが、自然の恵みからできた、最高の一本です!