2011年年末までは、ロエロでは雨も降らず、非常に温かく、乾燥した暖冬に非常に不安を覚えていました。
どいうのも、石灰砂質土壌のロエロは水はけが非常によく、春に水不足になるのではと思っていたのです。
しかし、1月末、シベリア寒気の到来により、記録的な雪と寒さとなり、マイナス20度プラス雪!
現在も、イタリア各地で雪の被害が出ています。
が、ブドウの樹をはじめ、植物には休息の冬が必要なので、人間は火をたいてい寒さに耐えています。
さて今回はロエロのネッビオーロについて。
前回、土壌を簡単に説明させていただいたとおり、ロエロの土壌は、ランゲ地区とは大きく異なります。
ということで、同じDNAのネッビオーロも全く違ったブドウ・ワインになります。
色彩
砂質土壌にできるブドウは若干色が薄いのが特徴です。
醸造家の友人たちとブラインドテイスティングをするときはこの特徴で
ロエロワインか、ランゲワインかを見分けてます。
香り
砂質土壌のロエロは香りは軽く、花や果実味をフルーティな香り。
(モモの大産地だからか、ほんのりモモと同じ香りがするなぁというのが私の印象です。)
粘土土壌のランゲは色が濃く、香りは重みを感じるジャムのような香り。
味わい
ロエロは甘いタンニンと貝殻が作り上げる柔らかいミネラル感が特徴
ランゲはしっかりした芯のあるタンニンとエスプレッソを飲んだ跡に残るようなマッタリとした重厚が特徴。
(この特徴を簡単に表現しましたが、これは一般論です。
ロエロでもランガより重いワインを造る人もいるし、ランガでもロエロより軽いワインを造る人もいます。)
個人的な好みをいうとロエロの柔らかく甘いタンニンと香りがどうも好きで、
ついついロエロに手が伸びてしまいます。
ピエモンテのワインは、貴族が造ったワインではなく、農家が造り続けてきたワインで、
今でも瓶詰めをせず、農家やワイナリーで量り売りをしてくれます。
私の家用ワインはこの量り売り。これがまたシンプルにおいしいです。
色々な農家へ行ってワインを分けてもらっているですが、実はどのワイナリーより、
近所のおじいちゃんが自分の小さな畑で造っているワインが一番おいしく、やさしく、体にしみます。
どんなワインでも造り手の移す鏡なんだなぁ改めて思います。
Langheのたくましいタンニン、Roeroの甘いタンニン。
どちらがいいワインと比べるのではなく、どちらが好みのワインかと探してのむのもまた楽しく、
ワインとの出会いは一期一会ですね。