2012年11月25日(日)
このたびは、AIS(イタリアソムリエ協会)ウンブリア州のテルニ支部が共催したワインの試飲会に行ってきました。さて、テルニ県のワインの世界はいかに?!
今回の試飲会はテルニの郊外にあるCAOSという現代美術館の中で開催。
モダンアートの並ぶ部屋の隣で、試飲会は行われていました。
イタリアはブドウの土着品種の宝庫。当然、私の狙いは土着品種のキャラクターを知ること、そしてテルニ県で作られているワインの全体像をつかむことです。
中部イタリアに広範するサンジョベーゼか、はたまた別の種類のものか?
アメリアDOCの規定ですが、
エリアは、ウンブリア州テルニ県のアメリア、ナルニなどを含むゾーン
ワインの構成ですが、
●白ワインとヴィン・サント:トレヴィアーノ・トスカーノ最低50%、他のブドウもウンブリア産であること。
●赤ワイン、リセルヴァ、ロゼ、ノヴェッロなど:サンジョヴェーゼ最低50%、他のブドウもウンブリア産であること。
●特選白ブドウ:マルヴァジア・トスカーナ、グレケットが最低85%、他のブドウもウンブリア産であること。
●特選赤ブドウ:チリエッジョーロ、サンジョベーゼ、メルローが最低85%、他のブドウもウンブリア産であること。
なるほど。
次からは私の主観的な印象です★
グレケット主体の白ワイン
酸味がスッと尖っていて、キラキラと輝いているのが、特徴ですね。
この品種は、最後の喉越しに、グレープフルーツの白い皮みたいな苦味があります。合わせるならば、ブルスケッタやパスタなどがおすすめですね。
チリエッジョーロ100%
チリエジョーロは中部イタリアで混合酒として用いられている古い葡萄品種ですが、近年、再評価されています。深いルビー色が美しい。サクランボ(ciliegia)に由来する品種名で、香りはチェリーに似ているといわれます。実は大きい粒と薄い皮が特徴です。樽に寝かせたものなら、マラスキーナ・チェリーやアマレーナの香りですね。サンジョベーゼより酸味は丸い感じ。なので、ワインをまろやかにするために、混合用にわずかに入れられてきました。タンニンはしっかりとしています。
そして、驚いてしまったのですが、ピリピリと若干の苦味がありました。舌を刺激するかすかではありますが、ピリッとした苦味。思わず作り手のおじさんに「防腐剤(亜硫酸塩)の入れすぎですか?」と失礼な質問をしてしまったところ、いや、チリエッジョーロの特徴だから、と言われて、興味深かったです。
メルロー100%
ペルージャ県では、メルローはボディに柔らかさや優雅さを加えるためにブレンドに用いますが、テルニ県では100%のものにお目にかかります。ブドウの果実味がふんだんに出ていて、甘みが多く、柔らかな酸味が感じられます。ややノッペリとした印象もありますが、樽で熟成させるタバコや腐葉土の香りが加わるので、味に奥行きがでますね。
テルニ県といえば、もちろんかの有名なオルヴィエト・クラッシコもありますね。
もちろんその作り手も来ていました。
印象に残った作り手
◆Asienda Viticinicola SandonnaのRose,Cigliegiolo di Narni
◆Fattoria Giro di vento cantinaのCigliegiolo di Narniとvermentino
◆Le Crete のGrechetto
◆La palazzolaのRiesling Brut(後述)
◆Castello di CorbanaのLa Orzalume(Grechetto とSauvignon)
◆Cantina dei colli amerini
◆Palazzone
そして興味があった催しは、食とワインのコラボレーションです。
試食&試飲あり…テーマは「トリュフとワイン」です。ウンブリアは黒トリュフの名産地が各地にあり、フレッシュトリュフを味わう贅沢ができる州。シェフは、ローマで料理学校を営むAngelo Troiani氏。
さてさて、どんな料理が出てくるのでしょうか。期待が高まります。
まず料理のデモンストレーション。
Spagoliniスパゴリーニ(細い縄)という繊細な手打ち面をトリュフと合わせようというのです。麺の食感と味を重視するため、卵白だけをつなぎにしています。
これはアンジェロシェフのオリジナルのよう。
材料を見て、興味津々。魚のヒメジ、にんにくの芽、砂肝!? ニンニクの芽も砂肝も、イタリア料理にはおよそ使わないような食材です。
オリーブオイルをフライパンにひき、ニンニクの芽で香りを出したあと、ヒメジ、砂肝を投入します。火入れは極々弱く。食材に若干熱が加わった時点で火は消し、ここで黒トリュフを削り入れます。結構たくさん!
あたりにトリュフの良い香りがフワーと広がり、オーディエンスの誰もが、早く食べさせて!と叫んでいるようです。(ちょうど正午から始まった料理ショーだったので)
そこに茹で上がったばかりのスパゴリーニを入れて、フライパンをあおって、ソースと麺を絡ませます。この作業に釘付けになる私たちを尻目に、会場のAISソムリエは、手際よくワインをグラスに注いでいきました。
1杯目は、スプマンテ(泡)ですね。
La palazzola社Riesling 2009 Brutです。ここは4年前に訪れたことがありますhttp://butako170.exblog.jp/10480339/ が、 シャンパーニュ方式(瓶詰め二次発酵)で丁寧に作っています。
泡は決め細やかで、キラキラと美しく輝ることからも酸味が凛としていることが分かります。グレープフルーツをはじめとした柑橘類の香り、刈りたての青草の香りがして、口に含むと、綺麗な酸味を感じた後、豊かなミネラルがゆっくりと追いかけてきます。
それと、黒トリュフをかけたスパゴリーニをいただきます。
このパスタがまた悶絶するほど美味!!
塩加減がバッチリと決まっていることは、言うまでもありませんが、パスタの甘み、オイルのネットリ感、そしてウマミが絶妙に絡み、トリュフと控えめなニンニクの芽の香りが一体となり、鼻をくすぐります。砂肝の少しコリッとした食感が良いアクセント。
それにリースリングの泡が、酸味を加え、パスタの小麦の甘みと好相性なのです!
またオイルの油分をスプマンテでスッキリと洗い流してくれるところもいい。
食べて飲んだ途端、また次の一口をおねだりする…というサイクルに陥って、際限なく食べてしまいそう。(それにしては試食の量が少なかった。涙。)
それにしても、シェフの腕の確かなこと。
えてしてオイル系で細いパスタの場合、オイルが多くなってしまいますが、食べ終わったお皿をみれば一目瞭然。オイルがまったく残されていません。
もちろんオイル不足でパスタがカシカシだったということもなく、ウマミをもれなくコーティングして、お口の中まで運んでくれたのです。
ー、栗、そしてブロードを取った後の豚のお肉が入っています。
お味はとても良かったです。
じんわりと体が温まる。ブロードの滋味と栗の甘み、パスタの相性がとてもよかった。
しかし、ワインとはどうでしょうか。
ここでは、Castello delle Regine Merlot 2004と合わせましたが、こちらは12ヶ月もバリック(小樽)で熟成させたマッチョなボディを持っています。香りは赤い実…プラム、マラスキーナチェリー、ほのかなカカオの香り、ラッカなどの香りがわずかにしました。
なかなか素敵なワインです。
それに対して、豚肉で出汁をとったとは言え、繊細な味わいのミネストラとは少々不釣合いでした。これでスープにペコリーノ・ディ・フォッサをかける、もしくはワインを1本目のスプマンテや、チリエッジョーロなどを合わせる…などにすれば良かったですね。
美味しい料理とワインを飲めて、満足でした。
トリュフとワインの合わせ方というのは、何か法則があるのでしょうか。
次回は、そのあたり、気づいたことを書いてみたいと思います。
主催のAISウンブリアの皆さん、お疲れ様でした!!