今日の試飲会、実はすごく楽しみにしていました。ローマで開かれるGo Wine主催の『おいしい、でも知らなかった!』をテーマに、いまだ知られざる土着品種のワインを発掘しよう、という趣旨の試飲会です。
南はシチリアから、北はヴァッレ・アオスタやトレンティーノまで、イタリアワインを縦横に網羅できるのも魅力的。網羅、といっても知られざる土着品種で作ったレアなワインばかり。さてさて、どんなワインを味わうことができるのでしょうか。
まずはカンパーニャ。
◆硫黄の香りのする白Greco di Tufo 2010 Dell’Angelo社
黄金色を帯びた麦わら色、硫黄の香り、パパイアやマンゴーのような南国フルーツ、黄色い花。
この会社はTufoの1銘柄しか作っていません。それだけで驚き。5ヘクタールから15000本のワインが誕生します。
栽培している土を展示していたけれど、ヴェスビオ火山の硫黄の香りがしました。水はけよさそう!まさに風土を生き移したワインです。Vini D’italiaトレ・ビッキエーリ、Enogea ⅡSerie N35 89/100、Slow Wine 2011ではVino Slowを受賞
◆一方灰の香りの強い白Fiano di Avellino –Particella 928- 2010はCantina del Barone社、これも銘柄1種で勝負しています。
麦わら色、灰のような強いミネラルの香り、地中海のハーブ、アカシアの香り、火打ち石など、硬質系の香りの中に柔らかな草花の香りが見え隠れするワイン。
ランブルスコでも、古い手法で作られたのが、Le Barbaterre社のBesmein Capoleghです。こちらは、瓶内二次発酵した後、澱を取り除いていません。クラッシック製法ですね?と聞いたら、「違いますよ、昔ながらのやり方なんです。」という答えが。2010年はブドウの出来があまりにも良かったので、この製法で試したら、非常に美味しかった…ということでです。ちなみにビオです。品種はマルゼミーノ・レッジャーノ。酸がフレッシュで、イチゴの香り、ほのかな石鹸の香り。余韻は長く、軽いのですが、ボディはあります。面白いワインでした。
その後、Go Wineのエノテカで、熱心なソムリエのお兄さんと出会い、とても清々しい思いをします。
何でも相談できそうな気さくな雰囲気と、控えめで謙遜な態度が非常に高感度大!
土着品種を知りたかった私のために、ランゲ地方の2種類のティモラッソを比較テイスト。ティモラッソは、トルトネージ地方で古くから栽培されている品種で、香りはリースリングにも劣らないという記述もあります。
◆ Pitasso 2008 Claudio Mariotto社 金色がかった小麦色 熟したピーチの香り、セメダイン、薬草系・・・完熟したフルーツの香りとエタノール系が混じっていて、余韻は長い。
◆ Timorasso 2008 Martin社 やや緑がかった小麦色 湿った麦わらの香り、干しブドウ、シナモンなどのスパイスの香り、乾燥ナツメ。ゆったりした味わいのワイン。
どちらもボディはしっかり目、香りも豊かで、ウサギやサラミとあわせても負けないボディと香りを持っています。酸はそんなに気にならなかったので中程度でしょうか。
赤は、モリーゼのTintilia100%。Cantina CipressiのMacchiarossaという銘柄です。樽熟成させていないにも関わらず、深い香りが。マラスキーノチェリー、カカオ、腐葉土の香りがして、ポテンシャルの高さを感じました。スロー・ワインに掲載されている銘柄。
ここで、Daniele氏登場!え?誰です、ダニエレさんって。
実はスポレートVini nel Mondoで出会い、その後、試飲情報をいろいろ教えてもらっている、非常にお世話になっている方。FaceBookでDegustazioneのグループも立ち上げており、イタリア全国の試飲情報を発信しています。実はワイン関係者ではなく、テレコムに勤めるサラリーマン。ワイン好きが高じて、試飲行脚をしています。
今回、実に良い出会いをした、と思ったワインが、こちら。
ラッツィオ州はNettuno地方Chaccione2010 DOCです。Casa Dibina Probbidenza。カッキョーネっていう名前が面白い。土着品種の白ワインです。ライチ、グレープフルーツ、石鹸などの香り。飲み心地がよく品もあり、魚介のカルパッチョなどとあわせても良いと思いました。
圧倒的な存在感を放っていたのが、アマルフィ地方のMarisa Cuomo。ジネストラ、熟した洋ナシ、フェンネルやタイムなどの地中海ハーブ。
Viticultori Associati Canicatti社Filenoは白、Centunoは赤。この赤のネーロ・ダーヴォラが秀逸です。赤い実の熟した香り、黒胡椒、ナツメグなどのスパイスの香り。フレッシュな口当たりで、心地よいタンニンが舌を刺激します。エレガントさを感じるワイン。
そして赤といえば、
FarneseのEdizione。プーリアとの境にあるアブルッツォ州のカンティーナです。
モンテ・プルチャーノ、サンジョベーゼ、プリミティーボ、ネグラマーロ、マルヴァジア・ロッサと堂々の土着品種で構成されております。これがエレガントでバランスが取れていて、非常に良いと思いました。ブラックベリー、プルーン、エニシダなどの草、タバコやヴァニラの香り、豊かなタンニン。リッチで厚みのあるワインです。
かなりアルコールが効いてきて、あまり感覚がなかったのですが、そこで「おいしい!」と感じることが出来ました。
今回、白のテイスティングが多くなったのが残念。白からテイストして、赤に行き着く頃には、だいぶ疲れてしまうので、ペースを考えなくては。
それにしても、楽しいGo Wineのイヴェント。今まで知らなかった土着品種を発見できる良い機会です。ローマやミラノ、トリノなどの大都市で開催されているGo Wine。
やはり地方の希少で目立たないワインを、都市で広める・・・というのは、すごく大切なことだと思いました。地方と都市との人とモノの交流が、都会と田舎の両方を豊かにすること、なのです。日本も、そんな動きがもっと高まれば良いのになぁ。
10月末のシチリア旅行を控えて、行ってみたいと思ったマルサラにあるカンティーナがCaruso&Minini。
醸造家であるStefano Caruso氏が、熱心で、それがワインにも反映されています。
白のSachia(Perricone種)や赤のSyrah Delia Nivolelli Doc Riserva 2008を試飲しました。じっくりと彼のホームである南の大地を訪問して、畑も見て、今度はシチリアで味わうのも悪くないですね。
今日の報告はちょっと長くなっていまいましたネ。