アンテプリマが初日のキャンティから始まってカルミニャーノ、ヴィーノノービレディモンテプルチアーノ、サンジミニャーノのアンテプリマを連日に渡りあちこちてんてんとしながら5日目6日目にキャンティクラシコのアンテプリマに行きました
キャンティクラシコのアンテプリマは毎年フィレンツェの中心であることもあって他のアンテプリマに比べるとレストラン関係者ワイン業者が初日と言うことなのですが、実際は一般の方も多く来られ大変混雑するので、ジャーナリストに向けては2日目3日目に試飲会が行われ今年は3日間にわたって試飲会が行われました。
私は混雑を避けるため今年は2日目3日目に参加したのですが、2日目は着席式でソムリエのサービスの中どんどんワインを運んで来てもらってひたすらアンテプリマを試飲して行くという形で3日目はガロネロキャンティクラシコ協会所属の169の作り手が集まって各作り手のサービスの中バンコアッサッジとなっていました。
アンテプリマとはヴィーニイタリー以降今年市場に出回るワインを指すのですが、キャンティクラシコの最低熟成期間をクリアしていればいいのでキャンティクラシコのベースが早いところで2010年、長く寝かすところで2009年、リセルバやセレッツィオーネで2009年2008年2007年と作り手によってヴィンテージは様々です。
そしてキャンティクラシコは大きくけて
GREVE IN CHIANTI
PANZANO IN CHIANTI:
CASTELLINA IN CHIANTI
RADDA IN CHIANTI
GAIOLE IN CHIANTI
BARBERINO VAL D’ELSA
CASTELNUOVO DELLA BERADENGA
などなど、広範囲にわかれ土壌もそれぞれに違うので、同じキャンティクラシコといえども内容は様々です。
なので、作り手にヴィンテージごとの状態を聞いても帰ってくる言葉は様々で、それを意識して試飲してみると、なるほどこういう風にワインに影響してくる飲んだということがわかりやはり着席式の試飲会はソムリエがどんどんワインを運んでくれる中座って直接データをパソコンに打ち込んで行けて集中できるし試飲ははかどるのですが、バンコを回って作り手の話を一つ一つ聞きながら試飲するのもいろんな情報が得られ非常に勉強になるのが魅力です。
それでは、試飲して印象に残った作り手を紹介して行きたいと思います。
Isole e Olena
C.Cベース2010エクイリブラート!エレガンテ!
C.C Ris 2009 ,サンジョべーゼ以外にシラーが使われているのでコショウの香りボリュームがあり色も濃い
IGT Capparello 2008 香が素晴らしい。でも飲むにはかなりまだ閉じた感じ。高いポテンシャルを感じる。
Castello di Monsanto
こちらはC.Cのベースはアンテプリマではなく、すでに市場に出回っているものを持って来られてました。
C.Cベース2009 最初、ちょっとアッチューゲの香り。すぐに消え熟したサクランボ、マルメッラータの様な甘い香りがしてきました。酸が通っていてタンニンの余韻が非常にいい感じです。さすがにアンテプリマのワインでないので、状態は落ち着いていて今飲んでも充分に楽しめるワインです。
C.C Ris2008とC.C Ris 2007 両方とも非常に内容はいいのですがやっぱりまだまだかなり閉じた感じです。
ここで作り手と話しこんでいると、テーブルの下から特別にワインを出して試飲するように勧められました。
このワインは今年モンサントが創業50周年と言うことで作られたアニベルサリオ50アンニと言うワインでした。
内容はIl Poggioに比べると少し太めのボディーで香りの果実味が強い感じです。
コディービレ!!
こうしてテーブルの下からリストにないワインが試飲できるのもバンコアッサッジのいいところです。
そしていろいろ試飲して少々疲れたので昼食ブッフェの用意されたサロットの方に移動して休憩しました。
キャンティクラシコは作り手も多く協会の予算も他のアンテプリマより多いので、何処のアンテプリマより毎年豪華な感じがします。
この日もいろんなサラミやプリシュート、チーズ各種、プリモに鴨のラグーやリッボリータなどなど数種、セコンドにイノシシの煮込みやポルケッタ、コントルノ各種、ドルチェいろいろと迷うぐらいたくさんのブッフェが次々に運ばれてきました。
ここで食べ過ぎると後の試飲が辛いので食べ過ぎないよう我慢我慢
ちょうど一人で食べてると、隣にエスプレッソとガンベロロッソとゴーワインを中心にいろんな本を書いてるジャーナリストのジャンパオロ・グラヴィーナと一緒になったので、食べながらお互いに何処がよかった?と感想を言い合ったりして楽しい食事の時間は終わりました。
ここで日本にまだないキャンティクラシコなのですが、非常によかったと思ったものを・・・・
Val delle Corti(1月に私が日本に持ち帰って試飲会を行った時にこのワインも出しました。)
I Fabri
右の写真は特別に海外向けに作ってみたんだけどと言ってかばんから出してきて試飲をさせていただきました。
Castelluzza di Piuma
他にはうっかり写真を撮ってませんでしたが、こいつは凄いと思うグランデヴィーノ、Monteraponiや、以前は日本に輸入されていたことがあったCaparzaなどが非常に印象に残りました。
何処の作り手も家族経営で小規模な作り手なのですが内容は非常にいいです。
こういったまじめな作り手のワインが今後もっともっと日本に輸入されるようになるといいなと思います。
今に飲むには早すぎるけれども、非常にポテンシャルが高いと感じたのは・・・
Fattoria San Giusto a Rentennano C.C 2010 C.C Ris 2009 Percalo 2008
Riecineの La gioia 2007
Felsina C.C Ris Rancia 2009 ,2008
どれも将来が楽しみなワインです。
そしていよいよ終盤に差し掛かり、まだ試飲してなかったところをサクサクっと急いで試飲して行きました。
ちなみにとても試飲する間はなかったですが、オリーブオイルの試飲もありました。
前日からLe Cortiでおなじみのプリンチぺ コルス―二が新しいワインを今年売り出すというニュースを聞いていたので、ゲラルドを見つけて試飲
その名もZAC(ザック)
単一畑でとれたサンジョベーゼのみを使ったスーパートスカーナと言うことです。
こちらのテーブルの下に隠してあり、ゲラルドに言って特別に試飲させてもらいました!
・・・・と言いたいところですが、「来るん遅すぎる!!」とゲラルド
・・・行った時にはからでした
もっと先に試飲しとくべきだった
そしていよいよ作り手も帰りかけて人がどんどん少なくなって来て最後に試飲したのがカステッロ ディ アマでした。
残念ながら作り手はすでに帰られてしまっててテーブルに残されてたワインを自分でグラスに注いで試飲しました。
Castello di Ama
IGT Il Chiuso 2010
数年前から、以前と感じかがらりと変わった気がする。
以前はピノネロ100%のスーパータスカンと言うイメージでしたが
2010年の葡萄の配合はサンジョベーゼ60% ピノネロ 40%
サンジョベーゼ比率が多くなり、キャンティクラシコ以上にお手軽な価格でこの先もトスカーナIGTとして売られるようになるそうです。
残念ながらアマの単一畑のワインについては2008年は雹の影響もあってブドウの出来が良くなかったためつくられてませんでした。
したがって試飲できたのもキャンティクラシコリセルバとイル キューゾの2本だけでした。
2008年はいろいろ問題が多かった年の様で、Badia a Cortibuonoもセレッツィオーネのサンジョべート ディ トスカーナは作っていないということでした。
しかしエマニュエラ夫人に2011年のブドウの出来を聞いたところ昨年は8月に暑い日が続き全く雨が降らなかったので心配したけれども、ブドウはスぺッタコラーレの出来だったと喜ばれてました。
バディアの2011年のキャンティクラシコも期待できそうです!
ちなみにこちらの2008年のC.C Ris はよいブドウだけをしっかり選別されたというだけあって、とてもエレガントで酸が綺麗な上品で美しい仕上がりとなっておりました
他の作り手も全てではないですが、2008年はワインを作るのに苦労の多い難しい年だったと言われる作り手は多かったです。
特にリセルバやセレッツィオーネは葡萄の熟するのをぎりぎりまで待って収穫を行うので、雹に当たったブドウは収穫を遅らすことができず、雹に当たったらカビや病気の影響が出るといった理由ですぐに収穫を行う必要があり、早く収穫をしてしまうと、結局リセルバやセレッツィオーネに使われるブドウのレベルに達しておらず、リセルバが作れなかったということでした。
葡萄づくりは天候に大きく左右されるので大変です。
そしていよいよドルチェヴィーノ
Castello di Cacchiano
ヴィンサントを試飲しようをブースに行ったのですが、これ飲んだ?と言われて差し出されたのはこちらも今年初めて市場に出るというメトドクラシコのロゼ ミレジマート2009年でした。
朝からここまでずっとキャンティクラシコ尽くしだったので、フレッシュな泡が非常に喉に心地よかったです。シンプルな内容ですが、メトドクラシコにしては値段もお手ごろでよいのではないかと思いました。
そしていよいよヴィンサント!
こちら毎年ヴィンサントを作られているのですが、今年は2002年のヴィンサントを試飲させて頂きました。
2002年は冷夏ともいわれ雨が非常に多かった年ですが、ヴィンサントに使うブドウは綺麗な酸を残すため早めに収穫されるところも多く。(中には凝縮した甘みを出すことを重視して収穫を遅らすところもありますが・・・)
雨が降り始めたのは8月20日以降だったので、それまでに収穫を行ったヴィンサントに使われるブドウについては雨の被害に遭うこともなかったようで、凝縮された甘味の中にもきれいな酸が残っていて、甘みが後に引っ掛かるように残る事もなく、後の余韻が非常に心地いいヴィンサントでした。
最後になりましたが今年のカロネッロキャンティクラシコ協会の新しいニュースとしては
来年から再びアンティノリが協会に加わることが決まったようです。
ワインの内容はともかくとして、大型規模の世界でも有名なアンティノリが加わるということは、協会にとってもキャンティクラシコのPRにつながるということや、大規模なワイナリーからはそれだけ多額の予算が支払われるので、これまで以上にPR活動に資金が回ることになることでしょう。アンティノリーにとっても協会の方で規定に沿っているかどうかの検査を行ってもらえるので無駄な手間が省けるし、両方にとっていい結果になるのではないかと思います。
世界中にもっともっと広くキャンティクラシコが広まりこれによって有名な作り手だけでなく、家族でやっているような小規模な真面目な中堅クラスのワイナリーがもっと潤う結果となってほしいものです。
今回書きたいことが多すぎて、長々とした日記になってしまいましたが、最後まで読んでいただきましてありがとうございました